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10月の八日講が勤まりました!

秋晴れの心地よい日になりました。5名の方がお参りをされました。

本日の布教使は、鹿児島県の清立寺住職・藤代尚師でした。昨年も一昨年もこの八日講で布教を賜りました。いつも藤代布教使の布教はご自身の経験や感じたことをそのままお話されて、それを分かりやすく仏教の言葉に置き換えて下さいます。

今日はご自身のお兄様との関係性の話をされました。子供のころは兄弟の関係の中で、弟である自分は本当に理不尽なことが多かった。長男である兄を大切にするという雰囲気がどこかにあった。しかし前住職であったお父様が亡くなった際、後を継いでいくのはお兄様ではなくご自身であったと。京都の大学を中退され、鹿児島に戻られたそうです。その頃、お兄様は自坊を出られ東京に住んで、やりたい仕事をされていたそうです。お兄様は鹿児島には戻られなかった。身勝手な兄だと思ったそうです。

時が流れ、お母さまが病に倒れられ、余命半年と宣告を受けられたそうです。その時、ちょうど偶々帰省されていたお兄様に対してお母さまが、「これから住職を支えるのは、兄のあなただけなんだ。お寺のことにも関りを持って、もっとしっかりしなさい!!」と言われたそうです。その頃からお兄様は京都の本山で資格を取り、自坊のお手伝いをして下さるようになったそうです。

亡くなられる直前のお母さまの言葉を聞いて、辛い苦しい理不尽な思いをしていたのは弟の自分だけだったと思っていたが、実は兄も兄の立場で色々な辛さや悲しみを経験していたかもしれないと思われたそうです。そう思えた瞬間、色々と思っていたことがパァーっと晴れたそうです。

日々の生活の中で、ついつい私たちは自身の苦労のことばかり考えてしまいます。私はここまでやっているのに・・・。私はこんなに苦しい思いをしているのに・・・。何であの人はそれに気付かないんだ!無神経な人間だ!と思ってしまうこと、ありませんか??
それは勝手に自分が思い込んでいるだけかもしれません。相手だって私が気付かない、知らないところで苦労をしているかもしれない。
ある法話でこのようなことを聞かせていただいたことがあります。阿弥陀様の私たちに対する呼びかけは、「汝、殻を破って大きな大きな世界に出よ」だと。私たちは本当に自分の思いや価値観という卵の殻の中にいます。そのことになかなか、気付かないんです。
仏法はそのことを気付かせて下さる教えです。私の思いや価値観を超えた、もっと大きな大きな世界に出遇う。その大切さを感じさせていただいた貴重な時間でありました。